○工場
- 埼玉県さいたま市岩槻区
- 鉄骨造
- 竣工 2002.5
- 構造設計 吉田一成構造設計室
- 施工 中建工業
1955年創業の、航空・医療関係の光学精密機器の工場である。
工場の敷地内には、幾つかの棟が散在していた。昔の小学校の木造校舎を移築して、工場に転用した棟がいちばん古く、その後、鉄骨の棟、プレハブの棟などが、必要に応じて増築されてきた。
しかし関連する部門どうしが別の棟にあるため、動線が長くなるなどの問題が生じていた。こうした問題を建築的に解決することが求められた。
ある部門のための専用のスペースを増築することも考えられたが、予算をより効果的に使うため、各部門の配置換えをした上で、主要な2つの棟を通路でつなぐことにより、最適な動線をつくることを提案した。
この方法なら、工事を最小限にしつつ、効果を最大にできると考えた。
これに基づき、2階同士を結ぶ鉄骨のブリッジと、ブリッジへの出入口、1階の新しい通用口、1階同士の移動の段差をなくす土間コンクリートを設けることになった。
工事前
工事後
鉄骨のブリッジは2階レベルで2棟を最短に結びたいところだが、1階レベルで各棟の人や機械の出入りに邪魔にならないようにするため、柱を慎重に配置する必要があった。
そのため、カギ型に曲がったデッキに、V字型の脚をもつ変則的な形状となっている。
この計画のもう一つの側面として、
工場のイメージアップが求められていた。
働く人々にとっても心地よい環境整備となるように心がけた
耐久性のある亜鉛メッキの銀色は、工場のイメージに合うものでもあるが、年月とともに落ち着いた灰色へと変わって行く
突き当たりは、機械設備の搬入出口。
通用口として新たにスチールドアを挿入した
背後より見る
手摺には亜鉛メッキのグレーチングという素材を使用している。一般に道路の側溝などに使われる素材だが、使い方によって意外な表情を引き出そうとした
今回は、ブリッジと呼応するようなデザインの
看板も製作した。亜鉛メッキ鉄骨の開口にガラス+シート文字。ざっくりとした造形と繊細なイメージの両立を考えた