本ページは、建築家・文筆家として活躍した
ロート美恵さん(1957〜1999)を記念するページです。
日本の大学生活を私は知らない.馬場馬術にあこがれドイツに渡ったのが19の頃.ドイツでインテリアスクールを,その後ウィーンの芸大を卒業し就職した.あっという間に10年間が過ぎた.そんな私にとって帰国後,短いながら所属した伊東豊雄事務所は日本の大学だ.事務所を離れても当時の同僚は良き先輩であり,大切な相談相手である.なによりも歯にもの着せぬ辛辣な批判がありがたい.物書きになろうかと本を出版したこともあったが,今はようやく建築が建つようになってとてもうれしい.生まれは渋谷の並木橋.生き生きした庶民の町だったのに,地上げのせいか住人が消えた.子供の頃隣の空地の材木にやぐらを組んて陣地にした醍醐味が忘れがたい.だからというわけもないが,生まれた場所にドーンとビルを建てたい.並木橋の路地裏を人の行き交う生き生きとした場所にしたい.
1996年頃に書かれた自己紹介文より
(『新建築 住宅特集 jt』1997年1月号に掲載 )